語彙力を鍛えたい

伝えたいのに伝わらない気持ちのもどかしさ、行き場のない感情を出来るだけ言葉にして反芻して吸収したり昇華したりするための練習

逃げるは恥だが役に立つんじゃなかったのか

年末に知った「逃げるは恥だが役に立つ~新春SP~」の放送に大喜びしたのは記憶に新しい。
逃げ恥の大ファンで、後にも先にも、あれを超えるドラマはないのでは。とさえ思っている。

 

ただその期待値が高すぎたのか、新春SPの内容は、今の私にとっては少し重かった。
正月からこんな気持ちにさせられるのか、、、
これならSexy Zoneのらじらー3時間スペシャル聞いたほうがよっぽどハッピーだったかもな。という感想に。。。

 

あれから月日は流れたものの、時々刷り込まれたあの正月の逃げ恥を思い出しては心に傷を負っている。弱すぎるけど。私にとっては大ダメージだった。


そんな最中で私は見つけてしまう。「逃げ恥」は恵まれ過ぎている、という感想があったらしい。
これにはさすがに、驚きを隠せない。

賛否両論があるのはやんわりと知っていたものの、まさか、「ハッピーエンドすぎる」みたいな、そんな感想があったなんて。


新春SPの内容は、決してバッドエンドではない。いろんな話を織り込みながら上手くまとまっていると思う。
この「恵まれすぎている」勢の意見をよく聞いてみると、

 

  • 男性で育休が1か月とれる環境。
  • ヒラマサさんが高給取り。
  • みくりさんにも働く場所がある。
  • 頼れる知人や友人がいる。
  • いざとなれば実家を頼れるし、コロナ禍に疎開できる場所がある。

 

ということらしい。まぁそういわれてみると分らんでもない。

 

分からんでもないけど、分かりたくないですよ。
わざわざドラマで人の苦しみを描いたってどうしようもないじゃない。
自分の苦しみを抱えるだけで精一杯の人生なのに、これ以上のものを背負わされたって、破滅するだけ。


いつもそういう思いがあって、共感性羞恥とかも含め、自分にネガティブな感情が生まれそうなドラマはできるだけ避けてきた。苦手。

今回の逃げ恥は、私からしたらこの「苦手」な部類に大きく含まれる要素がてんこもりだった。


決して「恵まれている」と思えない。いや、これが「恵まれている」のだとしたら、余計に人生はつらいものだと錯覚してしまう。
そう思わざるを得ない。

 

二人で子どもを育てながら生きていくために考えないといけないことが、こんなにたくさんあるのか。
子どもを持つことはこんなにも精神的苦痛や肉体的な苦労を伴うのか。
妊娠に対する女性目線の描写は何度か見たことがあったけど、男性目線の描写ははじめてで、それも苦しかった。
お互いが苦しんでつらくて、つらかった後には生まれてくる子どもを育てないといけない。本当に無理。

 

生まれてくる子どもに罪はない。ないからこそ幸せになってほしいと願う。
でも私がこんなんじゃ、こんな環境じゃ、幸せになんてしてあげられない。きっと。
つらいことは避けたい。避けたまま、なにごともなく死にたい。


逃げ恥はずっと、ヒラマサ目線で物語を追ってきた。私も自己肯定感が低くて壁を作って生きている(と、思う。たぶん)

ひとりはさみしいけど、結婚願望がないというか、自分にはできないとあきらめていて、それでいいやと開き直っている。みくりさんと出会う前のヒラマサさんは、そっくりそのまま今の私のよう。

 

そんなヒラマサさんが、逃げずにいろんな問題から正面切ってぶつかっているのが、どうも受け入れられないというか、自分はダメ人間のレッテルを張られたような、そんな気持ちになった。置いて行かれたような。
逃げるは恥だが役に立つんじゃなかったの?と、ヒラマサに対して永遠に問いを繰り返してしまう。

 

みくりさんと出会って変わったんだろう。分かる。でも自分にはみくりさんがいない。
これからも出会うことがない。正面切ってぶつかる人生なんて送りたくない。つらい思いはしたくない。
自分がかわいいから。生きていくためには、逃げるしかないというのは、ある意味私たちの生きる術だったはずなのに。


ただ生きていくだけでもつらいなら、自分はなんで生まれてきたんだろうな。
そして人類はなんで、次なる犠牲を自ら生むんだろうな。不思議だ。でも、そんなことを考えている自分が非常に不毛だ。


ひねくれていてごめん。

本当はこれ以上、生きたくもないが、生まれてきてしまったんだから生きるしかない。
寿命を全うしないということは、それもまた、人に迷惑をかけるということで、こんなの、生まれた瞬間から不幸だ。
だから私はこれからも逃げる。逃げ続けた先に何もないことはわかっているけど。それしか生きる術がないから。

 

 

逃げるのをやめたヒラマサさんは、どうぞ、幸せになってください。